まえがき
青天――。
ポルノグラフィティ始まりの地”因島”は、憎たらしいほどに晴れ渡っていた。
本記事は、2024年9月1日に開催された「因島・横浜ロマンスポルノ’24 〜解放区〜」因島公演DAY2についての感想記事になります。
この日を迎えるまでに、ポルノに関わるすべてが、長い1週間を過ごしたことだろうと思う。あんなにウェザーニュースとにらめっこする時間は二度とあってほしくないね。
無事に開催できた安堵。
開催できなかった無念。
色々な感情が渦巻く因島公演だったけれど、運よく参加できた身としてここに言葉を残しておこうと思う。
開演前
因島公演の開催地は、島内に位置する”因島運動公園”。
福山駅から小一時間バスに揺られて辿り着いたわけだけど 、到着して最初に飛び込むのがフェス会場みたいな光景な訳でして。
人、人、人……。
ポルノT、ポルノT、ポルノT……。
ここがどこだか忘れそうになる光景に、なんかフツーに泣きそうになってた。
今回の台風騒動、いち広島県民としては歯痒い思いしかなかった。
中止が決定したDAY1もそうだし、その前日も前々日もそう。広島はわりとフツーの天気だった。
「台風」なんて言われてなけりゃ、なんとも思わないだろう雨と風。その程度の空模様だった。
だから余計に悔しかったんよね。
因島から遠く離れた地域の荒天。それに伴う交通障害。バスで隣になった方もわざわざ広島空港とかいう僻地から遠回りしてきてたし、Xを眺めても北陸経由で新幹線移動。そんな人はザラにいた。「広島に辿り着くまでが大変」そんな状況だった。
だからこそ、この人ごみに感動しちゃった訳です。
これだけの人が、ポルノのために、ここにいる。
それって本当にすごいことだなーと愛おしく思った。
ホンマによう来んさったねぇ。
入場したのは開演5分前。タコス食ってたせいで遅くなった。
恒例の客席いじりもクライマックスらしく、「ポルノ~!!」と木霊する客席の中を突っ切る。傍から見ると面白い光景だと改めて思った。
今回の座席は3列目。字面だと良席だけど、座ってみるとかなり端の方。モニターもステージも横から見てるような席だった。
ステージに目を向けると、何の装飾もない鉄骨の骨組みが目につく。「設営が間に合っていない」という発言をライブMCでしていたけど、これはこれで”いい演出”になっていたんじゃないかなと思う。
ポルノグラフィティとしても、御二人の人格形成においても。この因島がそのルーツな訳で、この飾らない雰囲気が”因島公演”に良く似合っていたと思う。
定刻を少し過ぎたところで、SEが大きく唸りをあげる。
沸く歓声。
鳴る拍手。
空を裂く祝砲。
そして出てくる、ポルノグラフィティ。
待ちに待ったこの瞬間。紆余曲折経た末のライブ。
喜びか。感謝か。あるいは両方か。胸いっぱいになる私。
飛び込んできたのは、ズッコケそうな音だった。
本編
M1.おいでよサンタモニカ
パンパンパンパンパン♪
\Welcome~!/
パンパンパンパンパン♪
\因島~!/
ポルノ25thライブ。
栄えある1曲目は「おいでよサンタモニカ」とかいうダークホースが先陣を切る大荒れとなりました。今年のヴィクトリアマイルかな?
クラップしつつ、島ごとポルノ展チックな映像が流れるモニターを眺めてたけど、ず~~~っと笑ってた気がする。ホントびっくりした。ぶっちゃけ「ライブで聴く日が来る」なんて思ってなかったからね。
お二人にとっても気合いの入った凱旋公演だったと思うけど、いい意味で脱力できる開幕だったと思う。なんか楽しかった。
M2.愛が呼ぶほうへ
とか言うてたら、エグイ落差くるよね~。そこかしこから聞こえた”声にならない声”が、雄弁に衝撃を物語ってた。
先に書きますが、
私の“本公演MVP楽曲”です。
『愛が呼ぶほうへ』って”スケールの大きなラブソング”だと思ってたんです。
“誰か”とか”何か”とか。そういう特定の事物に向けてなくて、漠然と、包むようにある。そういった楽曲だなーと。
でも今回は違ったね。
明確に”届けたい相手”がいる。
そう思わされた。
償う人の背に降り続く雨
綺麗な水をあげよう 望むまま
紆余曲折あったライブの最初の言葉として、あまりに重たいフレーズに聞こえてしまった。いったい我々に何の罪があると言うのだろうか?
現地で聴いた時に「DAY1中止に嘆く人たち」を連想してしまったんだけど、それも仕方ない雰囲気がこの1週間にはあったと思う。
DAY1中止発表後のポルノ界隈を思い出すと、中止に悲しみ、気丈に振る舞い、開催に喜び、行けないことを妬む。
そんな変遷を辿っていたと思うけど、6年前の尾道で「現地嗚咽民」と化した私には、痛いほど分かる心情だった。DAY1参加を予定していた人たちにとって、この感情は全部まぎれもない本音なんだろうと思う。
だからこそ、この曲が(実質)1曲目であることに”2人からの愛”を感じたんよね。
My name is love
僕が持つたくさんの名前のひとつだから
中止に”嘆く”ことも。
誰かの安否を”気遣う”ことも。
開催に”喜ぶ”ことも。
行けないことを”妬む”ことも。
それは全部「愛」の別称だよ。
そう言ってくれたんだと思った。
ロックバンドを夢見て島を飛び出した人たちが、25年目にして初めての地元凱旋ライブで、真綿に水を垂らしたような優しい声で、遠くから近くから支えてきた人達に向けて、
アンタらの気持ちは全部”愛”なんじゃ!妬み嫉み恨みつらみ、全部吐き出さんかい!ワシらは全部受け取っちゃる!だって”愛”じゃけぇ!!ここは「解放区」じゃけぇねぇ!
そう言ってくれたんだと思った。
いやぁ、泣いたね。もう泣いた。ワズビルの『テーマソング』並みに泣いた。もう、直立不動で漢泣き。幾度となく聴いてきた曲だけど、「この曲でまだこんなに涙出るんだ」ってくらいには泣いたね。周りも耐えきれてなかった気がする。
人柄で25年メシ食ってきたのは伊達じゃねぇ。一番ほしい言葉を、いつも投げかけてくれる。
DAY1の人の分まで楽しもうとか、自分だけ参加できて申し訳ねぇとか。余計なモノを背負いこむのが好きな自虐的趣味のある私に向かって、いの一番にそう言ってくれた。
この後のMCでも「悔しい気持ちもあるだろうけど、アンタらは全力で楽しんで!ワシらは悔しさもバネにして頑張るけぇ!」
そんなことを言ってたけど、1曲目から言外に伝えてくれてたんだと思った。
受け取り方はそれぞれだったろうけど、みんな感じるものの多かった選曲だったと思う。「ワンチャン、セトリ入れ替えたんじゃないか?」とか邪推してます。
M3.メジャー
エモ散らかした後に響いてきたのが「メジャー」。徐々に揃っていくクラップに、また違った熱感が会場に灯っていく。
「珍しい曲きたな~」とか思いながら選曲理由に想いを巡らせていたけど、個人的には本公演で魅力を増した楽曲だなと思っています。
おせっかいな誰かが導き出した答えに
わざわざ自分の未来を合わせることはない
今回のロマポルは「内省」がテーマだったなと今にして思う。
「解放区」と銘打った計3公演。
“解放”に至るには、当然”抑圧”ってプロセスが必要な訳で。押さえつける自我があって、はじめて解放できる自我がある。
だから、”自分”ってもんを定義する必要がある。
そう言いたいライブだったように感じた。
私はちっぽけな歯車だから、押し黙って、軋ませながら日常を送ってる。それが悪いことだとは思わないけど、そういう日が続くと自分は擦り減っていく。
だから、非日常ってのが待ち遠しくて仕方ないんだ。人は規格品じゃないけれどオーバーホールは大事。無理すりゃぶっ壊れるんだから定期的にハメ外すべき。
ライブに行くと私は私を取り戻すんだけど、それは後々出てくる曲で詳しく書きたい。
M4.アポロ
ここで射出されたのは、デビュー1曲目『アポロ』。もはや何度聴いたかさえ分からないけれど、イントロの「ゴォォォ」で察する瞬間がいつになってもちゅき。
横に長いステージを昭仁さんが走り回るもんだから、私の目の前にも躍動感あふるる昭仁さんが来てしまう訳で。「ホンマ、この人よぅ動くの~」みたいな感心をしたことを覚えている。実際オーバーワークだったらしいが。
あるある話だと思うけど”1周まわってメジャーどころが刺さる”みたいな時期あるじゃないですか?最近の私がまさにそれなんですけど、なんでこんなに楽しい曲なんやろね。年を重ねるごとに好きになってる気がする。どこまで行けるんだろ?
『メジャー』→『アポロ』の流れに、MCでも語ってる「到達点」みたいな言葉が頭をよぎってしまう。
11号で人類史に残る大偉業を成し遂げたアポロ計画。定期的に数字を大きく刻むメジャー。
スケール感は全く違うけれど”目の前のナンバリングがゴールで通過点”、という意味では似たような価値観を謳ってると思う。
偉業を成し遂げた後もアポロは17号まで飛んだし、メジャーだって(有限の範囲で)数字が続く。いま目前にある数字は振り返れば、ただの数字に成り下がる。
ポルノの2人にとって「25周年」がそうであったように、私にとってもそういう「25周年」だった。ゴールで通過点。そういう周年だった。
ライブ終盤のMCにつながるような曲順だったと改めて思う。
まぁ、ポルノの「メジャー」デビューは「アポロ」です。という洒落たセトリの可能性もあるらしいけれど。
M5.OLD VILLAGER
いやぁ、待ってた!待ってたよ、君を!
ロッキン行かなかったのメチャクチャ後悔したくらいには待ってたよ!!
ここまでで一番テンション上がったんだけど、ぶっちゃけ熱すぎた(物理)。
「開演前に塗りたくった日焼け止め蒸発すんじゃねーか?」と思うくらいには特効が噴き上げてた。3列目の弊害である。「燻される」って言葉はなんら間違ってない。
ただ”ポルノ”が届けたい言葉と音楽を詰め込んだ。この「ギターが鳴らない時代」に。攻撃的で、BPMの速い、ポルノらしいロックナンバーを作りたかった。
「暁ツアー」昭仁MC
“ロッキンで『OLD VILLAGER』を歌う”という文脈も素晴らしかったと思うけど、”因島で『OLD VILLAGER』を歌う”。この思想の強さに参っちゃったね。もうコテンパン。
ギターの鳴らない音楽が世を席巻しているらしいけれど、私はこの人達の”こういう音楽”に焦がれてここまで生きてきた。周りを見てもそう。アクセスの悪いこの島に、全国各地から6000人くらいの人がポルノを求めてやってきた。DAY1やチケットが取れなかった人も含めればもっといるはず。
因島を飛び出して二十数年。その頃と変わらぬ「ギターの鳴る音」は、今も我々を惹きつけてやまない。
「古臭い」とか言われようが、「令和の時代に村ww」とか草生やされようが、私は一生この村の住人でいいよ。骨うずめる覚悟はできてる。チャレンジグッズで「墓石」とか売りだしてくれたら即決で買うと思う。骨壺はもうあるんだし。
M6.シスター
『OLD VILLAGER』から続けざまに披露されたのは『シスター』。このブロックが「再出発」を描いたブロックなんだろうと朧気に思った。
私は「ポルノグラフィティ3人態勢」だった頃を知らない新参者。だから、見聞した情報でしか当時のことは分かんないし、この曲を現地で聴くのも始めて。だけど、やっぱり特別な時間だったように思う。
バイアスのせいか、曲の力か。
それは分からないけれど、やっぱり特別だった。
「Tamaに拍手!」
終盤のMCでもTamaさんへの想いを吐露していたけれど、ポルノグラフィティとして大きな意味を持つ楽曲なんだと改めて思った。
悲しみが友の様に語りかけてくる
永遠に寄りそって僕らは生きていく
いいフレーズだよね。年追うごとに沁みてくる。
爽やかで切なくて、明るいようでほの暗い。前向きな気もするし、諦めに似た達観にも聞こえる。白黒で二分できるような曲ではないけれど、それをスッと聞き入らせるのが昭仁ボイスの凄み。
このミシン目のような世界の上で、ずっと側にいて欲しい楽曲だと思った。
「因島を出てからいくつもの旗を掲げてきたんじゃけど……」
『シスター』直後のMCにてそんなコメントが聞こえた瞬間、私は腰にぶら下げてたフラッグタオルに手を掛けた。
直後響くは、空を切り裂くギターサウンド。
私の理性は露と消えた。
握りしめたタオルを掲げ、聴ける喜びを凱歌に乗せて謳ってた。
これよ、この瞬間よ。
これがライブの醍醐味。
このために生きてる。
俺が、俺を、取り戻す瞬間の為に。
M7.FLAG
2012年の12thツアー以来の披露となった『FLAG』。いちファンとして声高に叫ぼう。
「もっと披露してくれ。そして、この世の中に響かせてくれ。この大・大・大名曲を」
Hey you 苦しんでいるもん同士
笑っていられる時間を今一緒になってさ 増やしていこう
「コロナ禍で魅力を増した楽曲」
そんなのが誰しも1曲くらいはあると思うけど、私の中のそれは間違いなく本曲で、このフレーズだった。
“声出しライブが復活してる未来”なんて想像できなかった頃合いだったけど、なんかのタイミングで聞こえたこの言葉に、私はいたく感動した。
いつかライブで聴いてみたい。
聴ける日が来たら、おもっくそ喜びたい。
闇に灯した、小さな夢だった。
ってな訳で、私の中では特別な1曲なんです。「ワンチャンやんねーかな」とか思ってたけど、そのワンチャンス掴み取った。僥倖だね。
決してライブ定番曲ではないけれど、定番曲にしたっていいくらいエネルギッシュでパワフル。
「PG」の旗を掲げて25年。
「その志はいまだ道半ばである」
耳に聞こえる全てがけたたましく叫んでいた。
私はこの曲に本当に支えられてきたから、全力で返したかった。
だから掲げた。
周りの誰もしてなかったから浮いてたかもしれないけど、間違いなくあそこに掲げた。変な形でいいから掲げた。
「ここに救われている人間がいる」
その感謝を伝えたかったから。
普段なら人目気にしぃの私だけど、ここならそんな大胆なことができる。大手を振って我が儘を闊歩できる。臆病者のライオンでいられる。ポルノのライブならそれが許される。
なぜなら、ここは解放区、だから。
走りだした時に感じる風を自由っていうんだよ!
『FIND YOUR WIND!』北上麗花
ライブ後に感じる清々しさは、駆け抜けた一迅の名残だ。掲げた旗だってはためくだろう。
俺は過去一番に感じた。
高いチケット代払ってんだから”傍観者”なんてものに成り下がるつもりは毛頭ない。
俺の最大瞬間風速はこの瞬間だったよ。もう引きちぎれんばかりだった。
あなたにとってはどこでしたか?
どこで掲げましたか?
何を掲げましたか?
それがどこでも何でもいいけど、Xにでも放流しといていただけると助かる。
M8.前夜
いやっ『前夜』て!!
重てぇぇぇぇぇぇ!!
期待と不安を内包しながら島を飛び出していった2人が、青春期特有の爽やかな葛藤を感じさせるこの曲を”いま”歌う。いやぁ、そんなの無理。不可避、涙が。
「この人達もこの島にいるときはただの人間だったんだよな~」とか「在りし日を思い出しながら歌ってんだろうな~」とか。そんなことに想いを馳せてしまうと、もう無理~!
今の僕には何にもないけど
何にもないから無限と言える
いやっ、無理なんですけど~!このフレーズ、無理なんですけど~!
何も持たずに島を出ていった少年たちが、二十数年後に大勢のファンを引き連れて、因島の知名度とか経済的に故郷に恩返ししてる、とか考えると無理なんですけど~!!
こんな凶器みたいな曲でしたっけ、『前夜』って?
M9.Aokage
ここで会場に中継が入る。今日ここに来れなかった人たちのために1曲だけのライブ配信をするためだ。
暑さを鑑みて客席もここで着席を促される。
「因島の空気感を感じてもらいたい」
そんなコメントと共に披露されたのは『Aokage』。冒頭、ドローンカメラで俯瞰映像が流れるんだけど、「なんか要塞みてーなトコでライブしてんな」って後々映像を見て思った。
今回島ごとポルノ展で「ミツイシヤ」が期間限定オープンしてたけど、そのおかげで解像度の上がった1曲じゃないかと思う。
風光明媚な港が続く大通り。途中に現れるロータリーみたいな交差点。そこを住宅街の方に曲がると小道が続いていて、林立する民家のおかげで日陰の有難みを享受できる。なんぼか歩いていくと、目指す「岡野製パン所」や「ミツイシヤ」が見えてくる。
今夏なんども訪れた因島の雰囲気が耳になだれ込んでくるような感覚だった。たしかにこういうアンニュイな音が似合うと思う。
毎回ライブに友人(非ラバッパー)を連れて行くんだけど、「サビのトコ地声でいっててスゲーよな」って言うてたのが個人的に印象的だった。
「よく聞いてんな、コイツ」って思ったし、「そもそもこの曲知ってんだ、君」って思った。なかなかLove up入会してくれないから最近腹立ってきました。
M10.むかいあわせ
「特典映像なんかでは披露したけど、ライブで披露するのは初めて」
その一言と共に奏でられたのが『むかいあわせ』。記憶違いかも知らんけど、本公演では曲名言わずに演奏してた気がするから余計に驚いた。
『夕陽の色』とか『wataridori』とか『Mr.ジェロニモ』とか聞かせてくれてもいいのよ?
なんとなく”和”を感じる涼やかなサウンドに、これまた内省的な歌詞。2℃ほど気温が下がったような穏やかな空気が会場を包んでいた。
おかえり やっと会えた ずいぶん長い旅だった
冒頭の「おかえり」。
この一言がどれだけの人に染み入ったことだろう。
普段より苦労してここまで来た遠征民にも刺さったかもしれないし、私のようなポルノ復帰勢にも刺さったかもしれない。なにより御二人自身への言葉だったかもしれない。
壊さないように。
優しく、腫れものを触るように。
声から伝わってくる慈愛の調べは、たやすく琴線をなぞり、涙腺を震わす。
歌唱力の魔人”岡野昭仁”の真骨頂はバラード。
言葉を”言葉”として聞き入らせる技術については、当代随一のボーカルだと私は思う。
「昭仁さんが”俺にだけ”語りかけてる」
そんなことあっていいはずはないんだけど、そう思ってしまいそうになる距離感に感じてしまう。この人の声は距離感バグってます。だからアポロがバグりがちなのも仕方なし。
改めて昭仁さんの神髄を味わった選曲だったね。
あと、「行~⤴⤴たり~♪ 来た~↑↑りで~♪」のアレンジ、良かったよな。「メッチャ行って帰ってくるやん」感あって。
M11.ギフト
『むかいあわせ』→『ギフト』
いやぁ、すごいね。もうムンムンだ、殺意が。『絶対殺ったるぞ!』って殺る気に満ち溢れとる。さすが25周年。
余談だけど「ここで立つんかな?」みたいにソワソワしだしたの私だけじゃないよね?
ただでさえ凶器みたいな楽曲だけど、今回はアコースティックアレンジ。
「そのギフト、メタルでコーティングされてません?」
と問いただしたくなる殺傷力だ。
自問自答きっとそこには答えがないことを
意外と前に気づいてたかも 悩んでる自分に酔っていた
アコースティックverのおかげで、割とワイパーがまばらだったのが新鮮だったね。
私の中では”バロメーター”みたいな役割を負う楽曲である。
この曲でいまだ震えられるのは“まだ開けもしてないギフトが疼くから”に他ならない訳で。「解放区の前日譚」としての意味合いを感じた。
月夜に浮かぶ街のシルエット
真っ黒な壁のようにそびえ
すべてを包み隠す優しさも”夜”だけれど、仰々しく不安を煽るのも”夜”だ。絢爛豪華な城下か、ただのReal Wallか。行ってみないと誰にも分かんない。
「やるか、やんねーか」
月並みな言葉だけど、私の行動原理なんてそんくらい単純明快でいい。「できる、できない」はその後の話でいい。
自戒を込めてここに刻んでおこう。
M12.THE DAY
近年ポルノライブの定番曲となりつつある『THE DAY』がここで登場。なんとなく「THE FIRST TAKE ver」を思い出す。
「1番しんみり→1サビ終わりでテンポアップ(というより原曲に戻す)」
というパターンだったけど、察せられなかった我々が初っ端から立ち上がる痛恨のミスが発生。客席中央からいそいそと着席しだす様子を笑いながら、私もいそいそと腰かけた。
ラスサビのアレンジが鳥肌立つくらいカッコよかったはず。
『むかいあわせ』→『ギフト』→『THE DAY』
「来るべき日」のために「意志を研ぎ澄ます」。そんな意図を明確に感じる曲順だったと思う。
マジックアワーと、夜と、午前5時。
時系列的にも繋がってるんじゃないかな?
因島公演では分からなかったけれど、横浜公演では本曲後に客電が落ち、会場の雰囲気が一変する。「解放区」というライブが反転する部分でしたね。
M13.螺旋
私は「RHINOCEROS」からポルノに復帰したから、なんとなく感傷に浸りながら聴いてたと思う。インスト曲だから語れることはあまりないんだけど、真昼間のクソ熱い時間に野外で『螺旋』を聴く。
そんな稀・ポルノ体験ができたことを誇りに思いたい。
M14.Jazz up
しっとりシリアスなナンバーが続く中、突如きこえてきたのは『Jazz up』。
現地で聴くのは当然初めてで、サビの「Dive in the girl,Dive in the mother’s sky」がコール部分だと知ったのもここが初である。モニターなかったら多分ムニャムニャしてた。
良かった~、地元民じゃなくて。こんな恥ずかしいフレーズ、地元じゃ叫べないよ~(/ω\)
すごく楽しかったです、はい。脳死で叫ぼう、今後とも。
M15.狼
このブロックのラストは『狼』。
『Jazz up』しかり『狼』しかり。私が知らないだけで、因島って実はドスケベな島なのかもしれん。
本曲の舞台「折古の浜」は現在海水浴場としては機能していないけれど、期間中何度か足を運んだ「アメニティ公園」の風景が頭に浮かんでしまった。
「男女の情事」なんて言葉は連想できない健全な光景しか目にしてないけれど、「抜けるほど青い空」だけはいつも広がっていた。
あっ、もしかして「ぬけるほど青い空(原文ママ)」ってそういうこと?「ジョリジョリでもいいから」ってこと?
やっぱ、瀬戸内の風景は美しい。中国山地の陰で育った人間としては、穏やかな海ってのはいつ見ても新鮮なんだ。
しまなみロマポルでも披露されていた曲だけに、ここで回収できて良かったと思う。今回は視界良好で良かったですね。西日までストレートだったもんね。
M16.ヴィヴァーチェ(新曲)
ジェットコースターみたいなブロックも終わりMCの最中。「ここで新曲やります!」の宣言に沸く客席。情緒グッチャグチャである。
「多様性」って言葉は素晴らしい言葉だけど、最近は窮屈に感じてしまう。同調圧力みたいなものを感じてしまって。どんな世の中でも「自分」を鼓舞していかないといけない。そんな曲です(意訳)。
そう言い、口にしたタイトルは『ヴィヴァーチェ(Vivace)』。音楽用語で「活発に、生き生きと」という意味の言葉だ。
モニターに歌詞が出てたからガン見してたんだけど、第一印象「アニメOPっぽさ」のある疾走感を感じた。タイアップは決まってないらしいけれど、とりあえず音源をください。
けっこう”オシャな綺麗めサウンド”に聞こえたけど、所々トリッキーさ(サビ終わりとか)があって、すんなり聞かせてくれない”もどかしさ”も印象的だったね。
今回のライブに「内省」を感じたのも新曲のおかげで、本来「多様性」って”モザイク柄の美しさ”みたいな話だと思うんです。虹色の破片”だけ”で作るステンドグラスなんて、見るに堪えない代物でしょ?
リリースされた時には歌詞も変わってるんだろうし、その差異も楽しみたいなと思う。
M17.ヒトリノ夜
なんとなくライブも佳境なんだろう、というタイミングでお出しされた『ヒトリノ夜』。
ここで来たということは「ドンチャン騒ぎブロックの開幕を宣言する!」という無言のお達しでもある。しかと心得た。
隣の友人が好きらしいからチラ見したんだけど、なんか楽しそうにしててホッコリした。オリンピックみたいな曲だからね~。ここで聞けて良かったね~。
ところで、いつになったらラバッパーになるんだい?
私だけじゃないと思うけど、「どこまで歌っていいの問題」って難しいよね。
個人的には1フレーズ交代が”キャッチボール感”あって好きなんだけど、全部歌いたくなる気持ちもよく分かる。気持ちいいもんな。
まぁ、楽しかったから何でもいいか。
M18.ネオメロドラマティック
少し自分語りをば。
私、初めて行ったポルノライブが「BUTTERFLY EFFECT 山口公演」なんですけど、その時にも披露されて頭真っ白になったんすよ。そこから7年経つらしいけど、その時の自分に教えてあげたいね。
「お前、ネオメロのイントロで走馬灯流れる身体にさせられてるで」って。
いや、暴力。脳漿弾け飛ぶ。もぅマヂ無理。トンじゃう。よぅこんな殺人的な音つくったよな。
「ポルノ必殺イントロ選手権」があったら問答無用で決勝戦までシード線を引っ張るべき名曲、だと思うけどやっぱいつ聴いてもいいね。3列目で聴くギターの嘶きは格別だ。
煽られずとも勝手に「ウォイ!」言うてる客席に安心するね。居心地のいい治安の悪さだ。特にもう言うことはありませウォイ!
M19.ミュージック・アワー
うわぁ…アホのセトリだぁ……(誉め言葉)。
ここまで散々ライブ楽しんできたけど、いまだに「恋するウサギちゃん」ポーズだけはこっ恥ずかしさがあるから、いつもネテロ会長みたいなポーズで参加してます。それはそれで恥ずかしい気もするけど。
隣で同行者は完璧に振りコピしてた。成長したねぇ。
M20.アゲハ蝶
うわぁ…アホのセトリだぁ……(2回目)。
『ミュージック・アワー』のアウトロからシームレスに繋がった「ツー・スリー」のクラップ。
「ポルノファンの心拍はツースリーで脈打ってる」
そう言われて久しいけれど、魂に刻まれた拍動にもはやイントロなど不要。即座に揃うクラップは”25周年の積み重ね”を如実に語っていた。
ちなみに同行者は「そう♪👏👏 じゃあ♪👏👏👏」のクラップまで完璧にこなしてた。
我が子を見守る親の気持ち、ってこんなカンジなんやろね。あとは入会するだけでちゅね~。
個人的な思い出話だけど、今夏開催された「因島水軍まつり」。そこで見た『アゲハ蝶楽舞』の景色が忘れられない。
ヒラリヒラリと舞い遊ぶように
姿見せたアゲハ蝶
夏の夜の真ん中 月の下
因島にはこの夏、全国各地から多くの人達が押し寄せてた。「僕、広島県民です」って言うの恥ずかったくらいには色んな所から来てた。地元民でもないけれど、スゲー嬉しかった。近くから、遠くから。本当に愛されてきた人たちなんだなって。
水軍まつりで灯された篝火の下、IQを溶かしながら踊った『アゲハ蝶』は、文句なしに今年の、いや、“生涯残る思い出”になったと自負してる。
“ポルノグラフィティ”という太陽に魅せられて、ヒラリヒラリと引き寄せられた我々はアゲハ蝶と何ら変わらない。
我が身を焦がしながら、求めずにはいられない夏の虫。
「あなたに逢えた それだけでよかった」
幾度かライブに行って、色んなものを受け取って。
毎回受け取るものは違うけれど、いつも想うことは同じ。
「この人達が、愛され続けてほしい」
私が満たされるだけじゃ、もう足りねぇんだ。
村上水軍が凱旋した時に、島の人々が笑顔で跳んで跳ねて無事を喜び合った。
ここ因島の地では、その喜びに「跳楽舞」と名前を付けた。
「郷に入っては郷に従え」
日本古来のルールに従うなら、私は思うんです。
この「因島ロマンスポルノ’24」は、僕らがポルノに捧げる「跳楽舞」だったんじゃねーかなって。
1日しか開催できなかったけど、意識朦朧とするくらいには熱かったけど。この因島でライブができたことが。「島ごとポルノ展」で因島のひと夏の思い出を作れたことが。
「おかえり」と喜び合えたことが、何よりの宝だったんじゃねーかなって。
因島でライブをする。
そこにかかる労力は、昭仁さんも晴一さんも自身の言葉で語ってる。本当に大変な尽力があったことだろうと思う。
軽率に「もっかいやろうぜ」なんて言っちゃいけないんだろうけど、やっぱり願わずにはいられない。それだけポルノを祝いたい人たちはたくさんいる。なかなか天気には祝福されないけど、ごまんといる。界隈に身を投じる人間として、痛いほどに感じている。
いつの日か、また因島で――。
ここにいない人の分まで、声を張り上げられたと思う。
一世一代かもしれない、この『アゲハ蝶』に。
M21.解放区
大声の花火も打ち上げきったところで、本編はラストを迎えた。ラストはもちろんこの曲。ライブタイトルに燦然と輝く『解放区』。
もはや余力なんてものは微塵も残ってなかったから静かに聞き入ってたけど、視線は遠い横浜の地を見ていた気がする。
完成したステージ、降りきった夜の帳、何万人の大観衆。そこで聴ける『解放区』は格別だろうな。
いま思えばもったいないけど、その時は来週のことで頭がいっぱいだった。
「来週もライブがある」という幸せを噛み締めながら、本編は幕を閉じた。
アンコール
暑さを鑑みてか、わりとすぐ始まったアンコール。
昭仁さんは短パン(私物)で、晴一さんはグラサン。「この人らもしんどいんやな」と思った記憶がある。
「アンタらが卑猥な3文字を叫ぶけぇ、アンコールやるよ!」
お決まりの文句を垂れてMCに突入するんだけど、途中から聞こえたセリフに我が耳を疑った。
ワシらは今年でデビュー25周年じゃけども、今年10周年を迎える”はっさくん”のテーマソングも作りまして(いいこと言ってたと思うけどうろ覚え)
凝視したステージに現れたのは、みなさんご存じ、尾道・因島イメージキャラクター”はっさくん”。
やるんだな!?今…!ここで!
突如現れた60m超の衝撃に、私のウォール・マリアは陥落。はっさくんに続いて現れる「因島高校」の生徒たちすら、小さな巨人に見えた。
メインボーカル”岡野くん”まで呼び上げたところで、アンコールの開幕。
「ワンチャン聴けねぇかな」とか思ってたけど、ワンチャンスもぎ取った。僥倖、僥倖。ぐへへっ!
水を含んで、叫ぶ準備をした。そりゃ、叫ばずにいられまい。
へっ、何を叫ぶかって?
そりゃ、もちろん決まってる。
へい!!へい!!
はっさくん!!!!
En1.はっさくんのテーマ
見てくれよ、このおじさん。
現役JKばりに脚出してんだぜ。たまんねぇなぁ、おい。
今年で50歳のポルノグラフィティと、現役高校生。
年齢で言えば倍以上(なんなら3倍)ちがう人たちの共演だったけど、あのステージにその距離感はなかったように思う。
みんなではしゃいで、みんなでうたって。肩のフリなんか合わせちゃったりして。
あそこには「この島で育った者」同士の触れ合いがあった。
今度ライビュもあるから、そん時に昭仁さんの眼を見てほしい。もう少年のそれです。「宝物みっけ!」とでも言いたげな純粋を宿してた。グラサンの奥で、多分晴一さんも同じ目してたはず。
青春とは人生のある期間ではない。心のありようなのだ。
「青春の詩」サミュエル・ウルマン
あれは、間違いなく”青春”だった。一時ポルノグラフィティを離れて奏でられた、在りし日の2人の姿。青春の日。
時間は距離じゃない。
私の一回り年を重ねた人らでさえ、こんなに若々しいんだ。年齢は言い訳にしかならないね。
そんなことを思う、フレッシュな一幕だった。
En2.ジレンマ
特大のサプライズに驚いた後、サポメン紹介とメンバー紹介が始まる。いつもの流れに寂しさを感じながら、聞こえてきたのは『ジレンマ』。まぁ、いつも通り楽しかったです。アホになりました。同行者も完璧にワイパーしてた。もはや驚くまい。
En3.Ohhh!!!HANABI
からの、コイツですよ!
いやぁ、やられたね!油断しきってた!そういやタオル回してなかったしな!
最近全然聞いてなかったわりにはコール憶えてた自分を褒めてあげたい。「シャントン」とかよぅ出てきたな。
フィナーレらしく色もとりどりに打ちあがる花火。時間が時間だけにそんなに目立ちはしなかったけど、昼に見る花火もそれはそれで乙ってもんよ。
「来週はハネウマが来るんかな」とか思いながら、タオル回しに興じてました(なお、怒りの三連投だった模様)。
あとがき
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。ホンマにいいライブでしたね、掛け値なしに。
横浜公演で上映会も決まりましたし、時間があればぜひ見てほしいライブだね。横浜公演とは違った空気感のライブだったと思いますし。
そんじゃ!
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