『OLD VILLAGER』~古き村の民よ~

ポルノグラフィティ
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まえがき

2023.01.24。
「18thライヴサーキット “暁”」が武道館にて幕を閉じた。

実は私、その前週に同じく武道館にて開催された

「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 9thLIVE ChoruSp@rkle!!」に両日参加していました。

好きなコンテンツが、2週連続で「日本武道館」でライブをする。

今後絶対にないであろう至福の期間ではありましたが、チケットがご用意されなかったため、このライブは配信での視聴となりました。

チケットさえ当たれば、もう1週間東京にいたんですけどね。

ローチケェェェ、
許さんぞぅぅぉぉぉ。

呪詛を唱えたところでどうにもならないのですが、配信ライブ自体に文句はございません。

同ツアーの広島公演にも行きましたが、配信には配信の面白さがあります。無計画にスタンプを投げつけれるところとか。

「配信は最前列」の通り、ゼロ距離で浴びるポルノはマジポルノ。脳が委縮する。

ライブ内容についても書きたい所ですが、タイトルの通り、今回は新曲『OLD VILLAGER』について書きます。

『REUNION』の様にリリース時に色々変わる可能性はあります。


ただ、“ツアー真っ只中or直前のポルノグラフィティ”が作ったであろう時点の、この曲について考えます。

 

考察の前に

アンコール1発目で突如、「新曲」として披露された本曲。

「声出し禁止」ではありましたが、声が漏れ出ているあたり、現地の方々の喜びを感じられます。タブレットの前で俺は叫んでたけど。

本ツアーのバンマス、tasuku氏がトラックを担当。

そこに昭仁さんのメロディーと晴一さんの歌詞を載せて作り出された本曲。

タイアップ的な、「何か」の「何か」は今の所ない。ただ”ポルノ”が届けたい言葉と音楽を詰め込んだ。この「ギターが鳴らない時代」に。攻撃的で、BPMの速い、ポルノらしいロックナンバーを作りたかった。

『昭仁さんMC』

未来を想像する時、「すごい自分」より「ある程度の自分」を思い浮かべてしまう。それは傷つきたくないから。そうなると、自分が見積った方に行ってしまうがちになる。

「それをどう思うか?」という曲。

『晴一さんMC』

MCで仰られた通り、攻撃的なサウンドに骨太なギター。

「ギターのならない時代」に
「っざけんな!!俺はここにいるんだぞ!!」と叫びあげているかのような存在感。

歌詞についても、誰かに対して辟易しているような。

気怠く立ち込める空気を糧に、轟轟と燃え盛る炎を連想させる刺々しい言葉。

何となく『暁』を思わせる荒々しさに、ここでも「続」を感じてしまいます。

 

歌詞全文

『OLD VILLAGER』
作詞:新藤晴一
作曲:岡野昭仁,Tasuku

神か仏か知らないけど 輪廻転生のことわりを
発動させる頃合いだろ 飽き飽きしている
そろそろ次のステージへと 俺を運んではくれないか

この世界を司っているルールは理解したよ
色恋沙汰も 争いごとも 盛者必衰も それら全てが

予定調和のばかしあいで 居心地いいでしょ?
見え透いてる行動原理 揺るがず
予定調和の三文芝居 御涙頂戴
我こそこのムラの生ける伝説 OLD VILLAGER

人が二人で向かい合ったら 理想同士がぶつかり合って
正義を掲げ潰し合うだけ 娑婆が娑婆らしくにぎやか
期待しすぎてメンタルの不調 我を叩くのは我の誹謗
時代の祀られた有象無象 サンゴも諦めて石になるさ

イライラせずに そういうモンだろって 皆受けいれて うまくやるのさ

予定調和の人生観 棺まで続く
政治家に文句の一つも ぶつけて
予定調和の爽快感 お情け頂戴
完全無欠のストーリーをただなぞっているだけ

新しい景色が見たい
「そう願うなら自分を変えろ」というパターンでしょ?

予定調和のばかしあいで 居心地いいでしょ?
見え透いてる行動原理 揺るがず
予定調和の三文芝居 御涙頂戴
我こそこのムラの生ける伝説 OLD VILLAGER

Time for me to move on
Move on move on
Time for me to move on

歌詞考察の副産物なので置いておきます。

 

歌詞考察

「予定調和」という悪者

「予定調和」

本曲のキーワード。
全てのサビで繰り返し使われ、あの手この手でこの言葉を貶しています。

予定調和のばかしあいで 居心地いいでしょ?

予定調和の三文芝居 御涙頂戴

予定調和の人生観 棺まで続く

予定調和の爽快感 お情け頂戴


厳密に言うと小難しい哲学用語です。

普段使う意味としては
「何やかんやあっても、最終的には丸く収まる」ではないでしょうか。

言葉尻だけ見るとポジティブそうですが、実際の使われ方は逆。

「今日の会議も予定調和だったね」なんて言われると、会議が丸く収まったというより、

“やる意味のない様な、結論が予想通りの内容だったね”

的な皮肉の意味合いで使われます。


何故、この主人公がこの言葉を忌み嫌うのか?
そこら辺を深堀していきましょう。

神は留守だよ。休暇とってベガスに行ってる。

初試聴後に歌詞を眺めていると、ある事に気づきます。

この曲の主人公の価値観が、ある人物?に近しいという事に。

 

「あー。オレ、天使。」
「そう、エンジェル。」

『オレ、天使』

この天使もといエンジェルと、この主人公の吐くセリフがかなり似ています。

 

たとえば、

期待しすぎてメンタルの不調
我を叩くのは我の誹謗

自分じゃない他の誰かに
理解求める事自体が
あぁ何て不毛な行為なんだろう

『オレ、天使』

天使は
“他人に期待することは不毛”と説いています。

それに対して主人公は
“他人に期待した結果、自分を責める”行為をしています。

 

神か仏か知らないけど 輪廻転生のことわりを
発動させる頃合いだろ 飽き飽きしている
そろそろ次のステージへと 俺を運んではくれないか

願いは叶うと誰が決めた?
笑わせんな!
神様だってそんなこと全然言ってなかった

『オレ、天使』

天使は
“神様なんてあてにならない”と説いています。

それに対して主人公は
“どうせ無理だろう”と半ば諦めつつも、生まれ変わりを渇望しています。

 

なんか……天使になりかけの思想というか。

もう少し主人公にとって期待外れの事が続けば、
「人間なんて、神仏なんてそんなもんか」って思想に陥りそうな。

悪い意味で達観した主人公が思い浮かびます。

そんな主人公のトドメの一撃がこのルールなのかなと。

 

この世界を司っているルールは理解したよ
色恋沙汰も 争いごとも 盛者必衰も それら全てが

予定調和のばかしあいで 居心地いいでしょ?

こんなに苦悩してアレコレやっても、結局どっかの神や仏の掌の上でしかない。

神仏の投げた賽で決められた、「予定調和」でしかない。

 

「予定調和」って、
「やりがい搾取」だと思うんです。

道中関係なくゴールが決まってるなら、そこに喜びや悲しみは無いでしょう。

あるのは、ノルマをこなす様な徒労感。

蜘蛛の糸を手繰るように一縷の望みに掛けたところで、

新しい景色が見たい
「そう願うなら自分を変えろ」というパターンでしょ?

 

『「そう願うなら自分を変えろ」というパターン』

と書いて、『予定調和』と読む。

 

もう、主人公ブチギレ。

「あー、はいはい。環境を変えたかったら、自分が変われ言うんじゃろ。んなこと分かっとるわい!出来んから頼んどんじゃろうがっ!!」

ってかんじ。

 

歌詞に散りばめられた単語を見ると、『廃仏毀釈』という高校で習ったような言葉を思い出してしまいます。

まぁ、仏教を廃して神道を残す出来事なので微妙に違いますが……。

「娑婆」やら「サンゴ」も仏教に関係する言葉です。

「娑婆」はお釈迦様が衆生を教化する世界。
すなわち「この世」の事を指します。

また、「サンゴ」は極楽浄土を彩る”七宝”の1つとされています。

 

時代の祀られた有象無象 サンゴも諦めて石になるさ
イライラせずに そういうモンだろって 皆受けいれて うまくやるのさ

祭壇に祀られるのも、時代を象徴するような有象無象。

MCの内容を加味すると、
“ヒットチャート”を思い浮かべます。

ポジティブな言葉で溢れているヒットチャート
頼んでもないのにやたら背中を押す

『ブレス』ポルノグラフィティ

ポジティブな言葉。

この曲で言う「そう願うなら自分を変えろ」みたいな言葉なんでしょう。頼んでもねーのに。

『イライラせずに そういうモンだろって 皆受けいれて うまくやるのさ』

と書いて、『諦める』と読む。

そんな祭壇を眺めては、宝物のはずの「サンゴ」も白化してしまう。

 

神様は万人に優しい訳じゃない。

自分の好みの音楽を捧げる人間には、それ相応の褒美を。

それが出来ない者には何もしない。

気が向いて言葉を掛けたところで、「そう願うなら自分を変えろ」。

それが出来ないなら、「イライラせずに そういうモンだろって 受けいれろ」。

神様がこれなら、娑婆にこんな奴がたくさんいてもしょうがない。

「蛙の子は蛙」。
よくできた言葉です。

音楽業界に詳しくはありませんが、最前線に立つ二人が感じている以上「ギターの鳴らない時代」が来ているのでしょう。

人間も加齢とともに味覚が変わります。

「音楽の神仏」は、今は「ギターの鳴らない音楽」がお好みなのかも。

 

神のいない世界の歩き方

神様仏様の好みそうな音楽は鳴らせない。鳴らしたくない。

てか、縋ったところで何もしてくれない。

 

我こそこのムラの生ける伝説
OLD VILLAGER

それなら、神に愛されなくとも。
時代に愛されなくとも。

この古い村で生きていく。

都会の人間には馬鹿にされるかもしれない「ギターの鳴る村」で生きていく。

神や仏なんて、存在してんだか分かんないもんは頼らない。

俺は間違いなく、ここに生きる。
ここで音楽をかき鳴らす。
間違いなく歩んできた音楽と共に。

誰もが目撃できる
「生ける伝説」になるんだ。

 

昭仁さんがこのフレーズと共に放つシャウト。

何度聴いても、私の琴線を震わせて止みません。

一時代を築き、時代に愛されたロックバンドが、時代に取り残された悲哀なのか。

誰に頼らずとも、築き上げてきたもので歩み続ける、決死の覚悟の表れなのか。

2人の村長の真意は分かりません。

ただ、私のような村民を震わせるには十分。

どんな時代だろうと、私はこの2人が好きだし、この村を愛してる。

『古き村人』上等よ。

最近は「サブスクリプション」という交通機関が各地に整備され、村同士を行き来することも簡単になりました。

都会からやってきた都会っ子が、仰天する様がありありと浮かびます。

「この令和の時代に村?しかも、めっちゃカッコいい音楽鳴らしてんだけど!!」って。

村民としては大歓迎。

音楽も良いし、村の雰囲気も良いんだ。伊達に長いこと続いてない。村人共々、面構えが違う。

何より、
村長の『人柄』が良いんよ。

年齢のせいか歌詞もよく間違えるし、MCはボケボケしてるし。昔からそうだった気もするけど、私もボケてきたんで記憶違いだと思います。

ただ音楽やらすと化け物。
怪獣みたいな歌声と怪獣みたいなギター。

そのギャップに震え上がるがいい。

村長は怪獣。村人はゾンビ。

あれ、この村終わってね?

Time for me to move on
Move on move on
Time for me to move on

時は暁。
道は明るくなるばかり。
進みだすには良い時間。

進め、進め、ひたすらに。
馬車馬の如く。

進め、進め、まっすぐに。
雲間を差す光芒の如く。

夜明けへ進め。

 

あとがき

御二人が本曲についてコメントを出した以上、この曲のメッセージ性は決まった様なもの。結論がそこに行きつくのも「予定調和」と言えるかもしれません。

ですが、自分なりに考えることに意義はあると思います。

歌詞考察なんて、結論を導く事より、そこに至る過程に楽しさが詰まっている気がします。

 

村長のお二人が”古き村人”を自称する以上、それに従う私も”古き村人”でしかありません。

たまに離れに行ったり、ミュージカルのために他所に行ったり。

これからも「ポルノ村」以外の活動があるかもしれませんが、母屋は守り続けていきたいですね。

 

カエルってだいじだよ (Go home)
カエルっていうのは (Go home)
いちばんあったかいトコあるってことなんだ!

『Get lol! Get lol! SONG』ピコピコプラネッツ

 

サンゴは白化現象が問題視されていますが、3月の誕生石としても有名です。

石言葉は「幸福」「長寿」

「ポルノグラフィティ村」。
末永く、幸せでいていただきたい所です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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