『Rat A Tat!!!』MILLIONSTARS 歌詞考察 ~推すか敲くか。いや。こじ開けろ~

ミリオン
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まえがき

ついに、アニメ『アイドルマスター ミリオンライブ! 第一幕』が全国の劇場で上映された。

待望のアニメ化。
感想は差し控えますが、ひとこと言うなら。

「やっぱり、ミリオンライブって”夢を叶えてくれる”コンテンツだな」

そんなことを思わせてくれる内容でした。
言うてまだ4話しかやってないんだけど。

もはやニュートラルな視点でミリアニを見ることはできないけど、Twitterに流れてくるご新規様の感想を見るにミリP以外にも刺さる内容らしい。

そんな感想を見つけては叫び出したくなる今日この頃。「ミリアニの顔」とも言えるOP主題歌『Rat A Tat!!!』が発売された。

スタートダッシュも決めてくれるあたり、頼もしい楽曲だよ。

アニメ自体の出来も素晴らしいけど、それを彩る”楽曲の強さ”もミリオンライブの魅力の一つ。

歌詞考察ブログらしく、アニメの感想に代えて考察していきたいと思います。

『Rat A Tat!!!』
作詞:モモキエイジ
作曲:佐藤貴文(BNS)
編曲:半田 翼

『セブンカウント』
作詞:松井洋平
作・編曲:佐高陵平

🐊🐊Warning🐊🐊

※若干のネタバレ、パンフレットからの引用があります。

気にされない方は最後まで楽しんでやって下さい。

 

歌詞考察の前に

『Rat A Tat!!!』という楽曲。
クレジットを見ても、「アニメ」に対する意気込みを強く感じる布陣になっています。

作詞:モモキエイジ
作曲:佐藤貴文(BNS)
編曲:半田翼

「モモキエイジ×佐藤貴文」
この2人の組み合わせは、

“ミリオン”はじまりの1曲
『Thank You!』
“ミリシタ”はじまりの1曲
『Brand New Theater!』

ミリオンライブの”はじまり”に深く関わってきた黄金コンビ。「アニメ」という新天地の門出にふさわしい信頼と実績を携えています。後述の動画でも、そこらへんの経緯について語っています。

 

あと余談ですが、曲名の区切りを変えると
『Rat A Tat!!!』=『R at At at !!!』

「at(At)」が3つ連なりますが、アイマス世界の節目で披露されてきた「@曲」相当の楽曲という見方もあるらしい。実際どうかは知らんけど。

「なんで3つも@があるんだろう」とか考えると、つなげてきた1日の重さに涙出てくるので止めときましょう。

 

『Rat A Tat!!!』考察?

そいじゃ『Rat A Tat!!!』の歌詞を考察していきましょう!!!

 

と言いたい所なんですが、考察にあたり『第一幕劇場パンフレット』に書かれている”このコメント”のおかげで、”とある一曲”を避けて通ることが出来なくなりました。

アニメのプロローグとして制作されたイメージソングとミュージックビデオ。楽曲自体、『Rat A Tat!!!』のロングイントロ的な位置づけで制作されている。

『第一幕パンフレット』 『セブンカウント』コメント

アニメプロローグイメージソング
『セブンカウント』である。

 

Rat A Tat!!! セブンカウント歌詞考察|もじゃも
THE IDOLM@STER ミリオンライブ主題歌のRat A Tat!!!、セブンカウントについての見解をまとめました。この解説のためにnoteを開設しました、解説のために開設、イェァ 個人的な見解に基づいた解釈であり公式な根拠はありませ...

考察したくない訳じゃないけど、私の感じてた疑問のアンサーはこのブログでだいたい解決した。分かりやすく書かれているので、この2曲の関係性はこのブログで見てみて下さい。

ひとつ付け加えるとするなら
「サウンド的にもそうだよね」ってこと。

終始「まどろみから目が覚めたら」の歌詞の通り、“ぼんやりとした浮遊感”が特徴的な本曲。音源聴いてみてもその印象は変わりないけど、2番のアプローチは少し違うように聞こえる。

2番冒頭からベースらしき低音がつよく主張してくるのが印象的だけど、

だけど確かにあるって 心は囁いてる

『セブンカウント』

歌詞の内容と合わせて「自分を急かしてくる誰か」。「胸を揺らす余韻の高まり」。そんな”得体の知れない圧迫感”を感じる。

ギターもアクセント的に入ってくるし、1番に比べて音数が多くなってるのは間違いないんだろうけど、1番に比べて音の密度が濃い。充満する何か。

そんな印象を抱いてしまう。

作曲は佐高陵平氏ですが、やっぱこの人スゲーな。こういう曲つくらせたらピカイチだろ。

 

『Rat A Tat!!!』感想

ってなわけで『Rat A Tat!!!』の歌詞考察を他のPのブログに投げ出したんだけど、今回メインで書きたいのは「私の感想」

作詞者さま本人が「感想は積極的に聞かせてほしい」言うてたので、ありがサンキューの意を込めて「たまには長文感想でも書いてみよう」ってのがこの記事の主旨です。

モモキ氏が『Rat A Tat!!!』について語っている動画もあります。2時間と長いけど、ミリアニの話とか途中で乱入してくるネコちゃん眺めて楽しめます。どうぞご覧ください。

 

そもそも『Rat A Tat!!!』という楽曲自体、歌詞に書かれてることがそのままメッセージだとは思います。

「ミリアニOP主題歌」ということもあって、小難しいギミックより“分かりやすさ”を重視している。“耳に残る音の響き”に重きを置いてる。

私はそう感じます。

特に印象的な事柄を
3つに分けてダラダラ書いていきます。

お時間ある方は、最後まで楽しんでやって下さい。

1.反復の多用

『Rat A Tat!!!』という楽曲。
同語(同音)反復が異様に多いのが特徴的です。

もっとカラフルに もっとあらぶるよ
みんな みんな 未来だよ!
気づかれずに終わらせはしない
届け 届け 『希望』の音

Rat A Tat!!! 叩こう 夢のとびらを 今
Rat A Tat!!! 叩こう 思いっきり叩こう!

『Rat A Tat!!!』

サビとかほぼ全部の行が該当します。

パンフの歌詞割が正しいとすれば、実に半数超の行で同一単語(音)の反復(レトリック的に言う「反復法」)が見られます。

「いつもこうだっけ?」と思って『Thank You!』,『Brand New Theater!』を調べたけど、全然そんなことない。意図的な試みだろうと思っています。

言葉(音)を反復することで、
そこには“強調”“リズム”が生まれる。

例えば、10th Act-2で披露された
可奈ソロ曲『グローインミュージック』を思い出してほしい。

サビの
「もっと(もっと!)もっと(もっと!)大きくなれ!」のコール、あるじゃないですか?ココとか”反復”による恩恵を最大限享受してる。

ちょっと口ずさんでほしいんだけど、2回目の「もっと!」の方が前のめりになりませんか?力入りませんか?

私はそうなってしまうんだけど、これが反復の効果。言葉を反復するだけのお手軽さで、そこには“推進力”が生まれるんよ。

上記動画内でモモキ氏は「ミリオンに対するイメージ」の回答として、「幼さ」を挙げていました。

いちミリPとして全面的に同意です。
なりたいにワガママな「幼さ」と、それに向けてひた走る「猪突猛進」。

それがミリオンライブの魅力だと思う。 

 

「アニメOP主題歌」という大衆に触れる機会の多い楽曲で、ミリオンライブを知らない人の耳に残る楽曲にしたい。

なおかつ。

「ミリオンライブらしさ」も全面的に出したい。 

 

言葉の反復で「キャッチ―」を生み出し、語彙が少なくなることで「幼さ」が表現できる。

「反復」はこの両立を成し得るにふさわしい表現技法と言えます。

ミリアニ以降『Rat A Tat!!!』が脳内で再生されてしまうPも多いと思うけど、

「ra tatta ta-ta kou」

この「Rat A Tat!!! 叩こう」ってフレーズなんか、まさにそう。

「タ」の4連打が妙に耳に残るし、思わず口にしたくなる小気味よさがある。そんでもって少しマヌケな音の響き。頭カラッポそうじゃん?

本曲の象徴的なフレーズだと思うけど、この「t」の畳みかけも“リズム感重視の工夫”だと思いますね。

「t」は「破裂音」に分類される言葉。
文字通り「口の中を破裂させるような動きで空気を押し出す言葉」で、「k,p」なんかもこれに該当します。

言葉というより”吐息”に近い音なんだけど、そのおかげで“音の強弱”が生まれる。テンポ以上の爽快感を生み出せる。

 

ポルノグラフィティに『ネオメロドラマティック』という楽曲があるんですが、この曲はその特徴を上手く活用してる。

よう君(み)望むままに
幸(う)か不幸(ふう)ネオメロラマティック

『ネオメロドラマティック』

ダイハツのCMに使われてただけあって、”疾走感”が特徴的な本曲。イントロのギターで阿鼻叫喚が巻き起こるポルノ屈指のキラーチューンですが、実は「BPM=126」と大して速くないんですね。

無機質でソリッドな音色がその印象の大部分を形成してるとは思うけど、歌詞を見ても「破裂音」の畳重で疾走感をアシストしてる。目まぐるしく切り変わるペダルワーク、そんな緩急を感じる。

 

「Rat A Tat!!! 叩こう」という「本曲の顔」とも言えるフレーズは、そこらへん意識してそうだな~とは思います。

耳で聴いた時の”軽快さ”。
口にした時の”爽快感”。

前述の反復要素も相まって、作詞テクニックが詰まったフレーズだと強く思う。

あと「ラッタッタ」って言葉が「扉を叩くオノマトペ」だから当然そうなんだろうけど、”歌詞の情景”と”音の響き”がマッチしてる。「扉叩いてそうなメリハリ」が効いてるよね。

2.違和感のあるフレーズ

前述の通り「幼さ」を感じる楽曲なんだけど、そこから外れたフレーズがチラホラ。

「もっとカラフルに もっとあらぶるよ

衝動 感じたなら」

「ためにためた野望を」

アイドルらしくないフレーズだし「幼さ」はさらに感じないけど、前後で韻を踏んでたりするので意図はなんとなく分かる。

だけど、

ひとつひとつと夢に規定はないから

『Rat A Tat!!!』

この「規定」の違和感がどうしても拭えない。

同じニュアンスの「ルール」もあるし、音数と終わりの母音(i)が一致する「きまり」ってワードでも良かったと思う。「ない」の韻にもなってるし、楽曲の雰囲気的には「きまり」の方がマイルドじゃん?

わざわざ「規定」なんて仰々しい言葉になってるのは「なにかしら意味があるんじゃない?」って、私の胸の中にある『違和感』の扉がラッタッタしてくるんよ。

その衝動を感じて素直にインターネッツの海に手を伸ばしてみると、こんなことが書かれています。

規定は、物事を一定の形式に定めた内容という意味です。規定は規程や規則で定められている内容の、個々の条文のことを指します。

「規程」「規定」「規則」「規約」の違いとは?使い方まで解説 – スッキリ (gimon-sukkiri.jp)

「規定」という言葉は、
「ひとつひとつを定まった形式に分類する」言葉。

「多少の違いをふるいにかけること」に特化した言葉です。

それは

私は私でしかない
可能性でしかない
世界にひとつだけの
音を持つ『希望』

『Rat A Tat!!!』

この歌詞と矛盾する価値観でありつつ。

『セブンカウント』の衣装コンセプトで語られている「まだ何者でもなく、何色にも染まっていない」ってコメントの裏返し。

「何でもないから、何にでもなれる」

この「無限大の可能性」を狭める価値観です。

『セブンカウント』と『Rat A Tat!!!』は扉を隔てた”こちら”と”あちら”のストーリーだけど、

形になっていないし、始まってすらいない。
だからこそ、終わりもないし、無限なんだ

この価値観は一貫してる。
「可能性」という言葉のアプローチだけ捉えても、この2曲は地続きであることが伺えます。

わざわざ「規定」なんて形式ばった言葉を用いてきたのは、

「形にすること」の弊害と、
「形にしない」という無限大

この意味合いを強調したかったんだろうと感じます。

3.『希望』

パンフレットで歌詞全文に触れた時から気になってるのがコレ。

届け届け『希望』の音

『Rat A Tat!!!』

希望を囲う
『』(二重カギカッコ)である。

上記動画内では「”特定の誰か”という固有名詞を強調したい」という趣旨の発言と、「それ以外の意味もありそうだなー」ってなことを仰ってる。

最後に『希望』に込められた「それ以外の意味」について、考えて終わりたいと思います。

 

「パンドラの箱」という神話。
一度くらいは聴いたことがあるんじゃないでしょうか?

神ゼウスは、まだ人間というものに男性しか存在せず、災難というものが無かった世界に、パンドラ(パンドーラ)という名前の最初の女性をおくります。すべての悪と災いを封入した箱を持たせて。

パンドラは地上に着くと、好奇心からその箱を開けてしまいます。
すると、中に入っていたあらゆる災いが人間界に解き放たれてしまいます。

「パンドラの箱」を開ける意味【2分で解説】 (motivation-up.com)

転じて、
「触れてはならない事柄」,「タブー」の意で使われる言葉。一般的にはネガティブな意味で使われる言葉だし、私もその意味合いで用いています。

ただ、この逸話。
続きがある事をご存じでしょうか?

彼女はあわてて蓋をしました。
すると箱の底には「希望」だけが残った。

「パンドラの箱」を開ける意味【2分で解説】 (motivation-up.com)

「パンドラの箱」には『希望』だけが残った。

この一文に対する解釈は様々あるだろうけど、

「世知辛い世の中を生きていけるのは、希望だけは、いついかなる時も持ち合わせているから」

という寓話的な解釈があります。

 

「ミリオンライブ」は様々なモノが飛び出すコンテンツ。

コミュで描かれる悲喜交々。
ハイペースでお出しされる強強楽曲。
様々な名場面が飛び出す感慨無量のライブ。
マスコットキャラクターという名の魑魅魍魎。

とにかく何でもござれのアイドルコンテンツですが、そのカオスが魅力的でもあります。今までも困惑させられたし戸惑ってきたけど、最終的には「ミリオンライブって楽しいな」。その結論に辿り着く。

だけど、そんな何でもありのコンテンツで、なかなか飛び出してこなかったモノがある。


大ヒット上映中の
「アニメ化」である。

誰が何と言おうと「大ヒット」上映中。

 

昭和の名作漫画ならいざ知らず、10年経ってアニメ化するアイドルコンテンツって中々ないと思う。

このコンテンツで、
誰しも大なり小なり抱えてきた”夢”。

「いつか見れる日が来る」。
そう自らに言い聞かせてきた”希望”。

「パンドラの箱」の寓話に出てくる『希望』は、「劇場」という箱の底で埋もれてた”アニメ化”という『可能性』

その姿に重なります。

なんとなく
“『希望』”という文字。

重厚そうな箱に見えてきませんか?

それを一生懸命こじ開けてそうな雰囲気感じませんか? 

「歌詞考察」なんて大仰なもんではなく、「そんな言葉遊びに見えるね」ってだけの感想。

このフレーズにどんな意図があるかは知らないけど、そんな「子供っぽさ」だったら嬉しいな。

 

あとがき

『ミニアニ』監督”綿田慎也”氏は、本作のコンセプトについて

再構成・再解釈した新約としての『ミリオンライブ』

『第一幕パンフレット』 監督コメント

このように語っています。

10年の歴史を持つミリオンライブ。
ゲームのみならず、CD、コミカライズ、ライブ。

アニメの素材にするに十分すぎる材料が転がっています。

それらを崩しては築き上げる作業は、『Rat A Tat!!!』よろしく推すか敲くか。多くの推敲を要した作業だったことでしょう。

多少の過不足は仕方ないと思ってたけど、お出しされたのは見事な新約『ミリオンライブ』でしたね。参りました。愛してる。

監督に限った話じゃないけど、ミリアニに関わったすべてに「ありがサンキュー」を送りたいよ。

これから第二幕・第三幕と続きますし、TV放映も。

期待は留まるところを知りませんが、やれることやりながら待っていましょうかね。

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