『細氷』はスゴイ

アイマス
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まえがき

新年あけましておめでとうございます。お餅は何個たべましたか?

 

今年は”AS20周年イヤー”。

最近の私は、来るべき日に備えてAS曲を予習・復習しています。そんな訳でたまたま『細氷』聴いてたんだけど、今にして気付いたことがあったのでブログ書きます。新年一発目です。

2025年もぼちぼちよろしくお願いします。

『細氷』
作詞:貝田由里子
作曲・編曲:BNSI(椎名豪)

 

光り

さっそく本題。

悲しみや切なさのない光りが 待っているよ

『細氷』のサビの1フレーズなんですが、みなさん疑問に思うことないっすか?ありますよね?私はすごく変だと思うんです。 

「光り」に送り仮名ついてるの

ということで、コイツの正体を暴くのが本記事の主旨だ。

 

この「光り」という表記を辞書で調べてみると、

動詞「光る」の連用形、あるいは連用形が名詞化したもののこと

という回答が得られる。ごちゃごちゃ書いてあるけど、どうやらコイツは「動詞」か「名詞」らしい。

そんで曲中での品詞がどうかというと、

悲しみや切なさのない
光りが 待っているよ

一つも揺るぎのない光り

光りが今ここにある

しっかり「名詞」である。

まず、ここに違和感がある。

というのも『文化庁 国語施策』では、“名詞の「光」には送り仮名をつけない”というルールがあるからだ。日本語教育の指針に書かれてるくらいだから、それなりに正当なルール。この一文は逸脱している。

私が違和感を覚えたのも当然っちゃあ当然なんだ。

名詞のくせに名詞のツラしてないんだもん、コイツ。

新年早々、ジャルジャルのコントみたいな輩に絡んでしもうたな。

 

「作詞の貝田氏が間違えてる」という可能性はあるかもしれないけど、そんなミスは天が地に落ちたとしてもありえません。作詞家さんがそんな凡ミスする訳ないんです。俺が姪っ子にあげたお年玉賭けたってかまわん。

これは間違いなく意図的。ひゃくパー故意。そんくらいの確信が私にはある。

ルールを犯してまで、「光り」にこだわる理由がある。

 

そんなことを考えながらボケーっとPCを眺めていると、私は気づいてしまったわけです。今日ほどミリPであることを呪った日はない。3行以上は目が素通りするんだもん。

動詞「光る」の連用形、あるいは連用形が名詞化したもののこと

先ほどの説明文で、私が「ごちゃごちゃ書いてある」でポイ捨てしたところに大事なことが書かれてあるじゃないか。「光り」はただの名詞じゃない。

連用形の名詞化だ

……連用形っつたらアレっすね、中学でやったやつ。「けけけるけるけれけよ」みたいな呪文。「なんたら活用」みたいな「どこで使うねん」知識。まさかこんなトコで使うとはな……。

簡単に言うと、文中で「接続」の役割を持つ活用形である。

しかも、先ほどの『日本語施策』。よ~く読んでみると、こんなことが書いてある。

「光」,「折」,「係」なども,動詞の意識が残っているような使い方の場合は,この例外に該当しない。したがって、本則を適用して送り仮名を付ける

流し読みで分かった気になっちゃいけないね。私の凡ミスでした。賭けはボクの勝ちですが。

要は「光り」とは”何らかの動詞”が紐づいた表記、ということらしい。この”何らか”が悪さしてそうだ。「光」を「光り」に変えさせる元凶は、きっとコイツに違いない。

 

光り……

「んじゃ、何が紐づいてんねん」ということで歌詞を見てみるんだけど、こっちはすぐに見つかる。というか、聴けば痛いほどに伝わってしまう。

風に揺られモノクロの街も人も夢も
朽ち果てて

本曲は、それはそれは悲しい歌だ。 

何かを失う悲壮感。元には戻らぬ喪失感。事実を受け入れられない憤り。そんな自分への嘲り。オーケストラのように複雑に絡み合ったネガティブな感情がそこかしこに漂っている。「見えない景色」に固執する主人公の姿が、あまりにも痛々しく伝わってしまう。

『細氷』の良さは、この“暗さ”にある。

この暗さがあってこそ、主人公が気づいた「今」という一瞬の輝きが映えるんだ。

重ねて言おう。

『細氷』の良さは、幾度聴いても慣れない感動は、この“暗さ”があってこそなんだ。

 

コイツだ、コイツだよ。
「光」を「光り」にそそのかした黒幕は。

ルールを捻じ曲げさせたのはコイツだ。

「光り」なんて書いといて、表現してあるのは「光」じゃねぇ。

「光」にこびりついた「影」の方だ。

 

たった1文字、たった1文字よ。たった一文字くっつけただけで真反対。表現してるものが真逆。もう別人。ジャケ写とサンプル動画くらい別人。

だって見てくださいよ。

 

光り

 

さっきまで「なんなんコイツ」みたいに思ってた「り」に…”影感”出てるやん………スンッと佇むフォルムに…”憂い”…帯びてるやん……3歩だけわざと離れてそうな…”いじらしさ”あるやん……それって…もう……”人妻”やん………………

「作詞家」とは神です。言葉の端々に血を通わせる「創造神」。「光り」という言葉にエロい肢体をなぞらせる、この神業。この躍動感。マジぱねぇ。「光り」から差す後光に俺は焼き殺された。

俺は感動したよ。たった一文字まで妥協しないこの姿勢に。こういうご褒美があるから、私は歌詞考察ブログなんて流行んないことしてんだ。無駄な詞なんて一文字もない。神の啓示を受けたからには、布教するのが信者の務め。

『細氷』の歌詞はマジでエロイ

まだ『細氷』を知らぬ 無辜の民に、このセリフを届けに行く義務が、私にはある。

 

そんな結論に行きつくと、

心の中の スヴェート
※свет:(露)光,世界

ふと見た空には光る星たち

単純名詞か原形を取ってるコイツらは、たぶん人妻じゃない。JDくらいのフレッシュさある。盛り上がる部分だから、たぶん意図的な使い分けだよね。

 

というわけで謎も無事解決。「作詞家さんスゲー」という結論に辿り着いてしまいました。リリースから何年経とうが「いいものはいいんです」。

今年は”AS20周年イヤー”。

私の「いい」が、少しでも伝わる1年になってほしいと思う。

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